パブコメ「再生可能エネルギーの最大限導入に向けた固定価格買取制度の運用見直し等について」

資源エネルギー庁より「再生可能エネルギーの最大限導入に向けた固定価格買取制度の運用見直し等について」のパブリックコメントが開始されました。

・出力制御の対象範囲が拡大され、パワコンは遠隔制御出来るものを開発し出力制御対象事業者に導入を義務付ける。
・「指定電気事業者」制度の活用強化
・被災3県の再生可能エネルギー促進

等が主な内容のようです。以下、資源エネルギー庁の発表内容です。
再生可能エネルギーの最大限導入に向けた固定価格買取制度の運用見直し等について
平成 26 年 12 月 18 日 資源エネルギー庁

資源エネルギー庁は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に基づく再生可能エネルギー発電設備の接続申込みに対し、複数の一般電気事業者(以下「電力会社」)で回答保留が生じている状況を踏まえ、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会及び同小委員会系統ワーキンググループ(以下「系統WG」)において、問題点の整理及び当面講ずべき対応策の検討を行ってきた。
新エネルギー小委員会及び系統WGにおけるこれまでの検討結果を踏まえ、新たな出力制御システムの下での再生可能エネルギー導入への移行及び固定価格買取制度の運用見直しについて、以下のとおり行うこととし、関連する省令・告示改正案についてパブリックコメントを実施する。

1.新たな出力制御システムの下での再生可能エネルギーの最大限導入
電力系統への接続に制約が生じる中で、最大限の再生可能エネルギー導入(kWhベース)を実現するために、より実効的かつきめ細かな出力制御システムを導入し、適切な出力制御を行いつつ、再生可能エネルギーの接続・導入拡大をすすめる。

(1)出力制御の対象の見直し【省令改正事項。1月中旬の公布日から施行予定】
①太陽光発電・風力発電に対する出力制御の対象範囲の拡大
現在、500kW以上の太陽光発電・風力発電に義務づけている出力制御について、500kW未満の太陽光発電・風力発電にも拡大する。
なお、太陽光発電に対する出力制御においては、住宅用太陽光発電(10kW未満)については、非住宅用太陽光発電(10kW以上)を先に出力制御を行うなど優先的な取り扱いを行う。
②バイオマス発電に対する出力制御ルールの明確化【省令改正事項。1月中旬の公布日に施行予定】
現在、一律に火力発電と同等の出力制御の対象となっているバイオマス発電について、出力制御の受容可能性を踏まえたきめ細かい出力制御ルール(※)を設ける。
※バイオマス発電に係る出力制御ルールの明確化
ア 地域型バイオマス発電(注):電力系統の運用上必要な範囲での出力制御の対象とするが、イ及びウの出力制御を先行して実施することを前提とする。また、燃料貯蔵の困難性、技術的制約等により出力制御が困難な場合は、出力制御の対象外とする。
イ バイオマス専焼発電(アを除く):電力系統の運用上必要な範囲での出力制御の対象とするが、ウの出力制御を先行して実施することを前提とする。
ウ 化石燃料混焼発電(アを除く):電力系統の運用上必要な範囲での出力制御の対象とする。
(注):メタン発酵ガス発電、一般廃棄物発電、木質バイオマス発電・農作物残さ発電などであって、地域に賦存す
る資源を有効活用する発電。
(2)「30日ルール」の時間制への移行【省令改正事項。1月中旬の公布日から施行予定】
現在、1日単位での制御を前提として、年間30日まで行える無補償の出力制御について、時間単位での制御を前提として、太陽光発電については年間360時間まで、風力発電については年間720時間まで行えるよう制度を見直す。時間単位できめ細かく出力制御を行うことにより、接続可能量が拡大する。
(3)遠隔出力制御システムの導入義務づけ【省令改正事項。1月中旬の公布日から施行予定】
以上のような実効的かつきめ細かな対応を実現するため、遠隔制御用のパワーコンディショナー等の開発を進め、上記の出力制御の対象となる事業者に対し、その導入を義務づける。
※遠隔制御システムの構築には、一定の時間を要する見込み。このため、当分の間は、制御に必要な設備の設置や費用負担を行うことを予め約した上で接続することとする。
(4)指定電気事業者制度の活用による接続拡大
接続申込量が現行ルールでの接続可能量を既に上回っている又は上回ると見込まれる電力会社に対しては、「指定電気事業者制度」を活用し、接続申込量が接続可能量を上回った場合には、30日を超えて無補償の出力制御を受ける可能性があることを前提に接続することを可能とする。その際、時間単位での出力制御を可能とすべく、遠隔出力制御システムの導入を義務づける。なお、各電力会社に対し、出力制御期間の見込みをあらかじめ示し、再エネ事業者の予見可能性確保に努めることを求める(※)。
【参考】指定電気事業者制度下での出力制御
(1)と同様に、今回、新たに500kW未満の太陽光発電及び風力発電についても、指定電気事業者制度の下での出力制御の対象とする。ただし、住宅用太陽光発電(10kW未満)については、指定電気事業者制度の下においても、非住宅用太陽光発電(10kW以上)を先に出力制御を行うなど優先的な取り扱いを行う。
※併せて、諸外国における出力制御の状況等について、当庁のウェブページ等で情報提供する予定。
(5)改正後のルールの適用について
改正後のルールは、パブリックコメントを経て、来年1月中旬を目途に施行することを予定。その際、新旧のルールの適用関係については、以下のとおりとする。
①上記(1)、(2)、(3)に係るルール
省令施行後に行われる申込みに対しては、改正後のルールを適用するが、既に施行前に申込済の案件については、現行ルール下での接続への事業者の期待を保護する観点から、現行ルールを適用する。
②上記(3)、(4)に係るルール
①にかかわらず、接続可能量の上限を超過した後に申込みに対する回答を行うこととなる案件については、指定電気事業者制度の下で、改正後のルールを適用する。
2.バランスのとれた再生可能エネルギー導入に向けた対応
太陽光発電が先行して導入されている状況に鑑み、太陽光以外の電源について以下の対応を行うこととする。
(1)地熱発電・水力発電
出力制御の対象とせず、接続する。(原則受け入れ)
(2)バイオマス発電
新たな出力制御ルールに移行し、接続する。
(3)風力発電
電力会社が風力発電の接続可能量を設定している場合には、当該接続可能量に至るまでは、接続を行う。接続可能量を超過することが見込まれる場合には、指定電気事業者制度の活用を検討する。
3.接続保留問題を受けた電力会社ごとの対応
(1)検証された接続可能量を踏まえた対応
①接続可能量の検証結果等
系統WGによる各電力会社の現行ルールの下での接続可能量の検証の結果は別紙のとおりである。この接続可能量及び2.の対応方針を踏まえ、電力各社は(2)~(4)により、再生可能エネルギー電源の受入れを行うこととする。
なお、個別具体的な案件についての対応は、各案件の状況(個別地点の送電可能容量を超過することとなる場合等)によって異なる。
②指定電気事業者制度への指定
系統WGにより検証された太陽光発電の接続可能量を、接続申込量が既に上回っている又は上回ると見込まれる電力会社に対しては、「指定電気事業者制度」に基づく指定を行う(既に指定を受けている北海道電力に加え、今回の系統WGでの検証結果を踏まえ、系統WGで接続可能量
の検証を行った6電力会社について、12月22日付けで指定を実施予定。)。これにより、接続申込量が接続可能量を上回った場合には、年間30日を超えた無補償の出力制御を受ける可能性があることを前提に接続することを可能とする。
③将来的に系統への接続が可能な枠が増加した場合の対応
今後、既に接続枠を確保しているにもかかわらず、事業開始に向けた取組が進まない案件に係る接続契約の解除や地域間連系線の更なる活用等の取組により、新たに系統への接続が可能な枠が一定規模生じた場合には、再生可能エネルギーのバランスのとれた導入を進める観点を踏まえ、地熱・水力等を円滑に接続する等の取扱いを行うこととする。なお、その際の非住宅用太陽光発電(10kW以上)の取扱いについては、再生可能エネルギーの最大限の導入拡大を実現する観点から、系統の安定的運用への貢献度による入札等を活用した新たな接続ルールを早
急に検討する。
(注)上記の枠については、一定の期間(例えば1年)経過後に、まとめて接続の募集を行うことを検討する。
(2)接続申込みに対して、回答保留を行っている電力会社(北海道、東北、四国、九州、沖縄)
保留対象となっている案件及び今後の申込み案件について、以下のとおり、接続を再開することとする。
①地熱発電・水力発電
現行ルールの下で、速やかに接続を再開する(原則受け入れ)。
②バイオマス発電
新たな出力制御ルールの施行前に行われた接続申込案件については、現行ルール(火力発電と同等の出力制御を前提)の下での接続を速やかに再開するが、新たな出力制御ルールの施行後は、施行後に行われた接続申込案件とともに、新たな出力制御ルールの下に移行する。
③風力発電
電力会社が既に設定している風力発電の接続可能量までは、新たな出力制御ルールの施行前申込案件については現行ルールの下で、新たな出力制御ルールの施行後申込案件については、新たな出力制御ルールの下で、それぞれ速やかに接続を行う。接続可能量を超過することが見込まれる場合には、指定電気事業者制度の活用を検討する。
④太陽光発電(10kW 未満を含む)
接続可能量を超過した場合には、指定電気事業者制度の下で接続する。
(3)系統WGに参加しているが接続申込みに対して回答保留を行っていない電力会社(北陸、中国)
今後の接続申込み案件について、以下のとおり接続することとする。
①地熱発電・水力発電
現行ルールの下で、接続を継続する(原則受け入れ)。
②バイオマス発電
新たな出力制御ルールの施行前に行われた接続申込案件については、現行ルール(火力発電と同等の出力制御を前提)の下で接続を行うが、新たな出力制御ルールの施行後は、施行後に行われた接続申込案件とともに、新たな出力制御ルールの下に移行する。
③風力発電
電力会社が既に設定している風力発電の接続可能量までは、新たな出力制御ルールの施行前申込案件については現行ルールの下で、新たな出力制御ルールの施行後申込案件については、新たな出力制御ルールの下で、接続を行う。接続可能量を超過することが見込まれる場合には、指定電気事業者制度の活用を検討する。
④太陽光発電(10kW 未満を含む)
新たな出力制御ルールの施行前申込案件については現行ルールの下で、新たな出力制御ルールの施行後申込案件については、新たな出力制御ルールの下で、接続を行う。ただし、接続可能量を超過した場合には、指定電気事業者制度の下で接続する。
(4)系統WGに参加していない電力会社(東京、中部、関西)
今後の接続申込み案件について、以下のとおり接続することとする。
①地熱発電・水力発電
現行ルールの下で、接続を継続する(原則受け入れ)。
②バイオマス発電
新たな出力制御ルールの施行前に行われた接続申込案件については、現行ルール(火力発電と同等の出力制御を前提)の下で接続を行うが、新たな出力制御ルールの施行後は、施行後に行われた接続申込案件とともに、新たな出力制御ルールの下に移行する。
③風力発電
新たな出力制御ルールの施行前申込案件については、現行ルールの下で、新たな出力制御ルールの施行後申込案件については、新たな出力制御ルールの下で接続する。
④太陽光発電(10kW 未満を含む)
新たな出力制御ルールの施行前申込案件については、現行ルールの下で、新たな出力制御ルールの施行後申込案件については、新たな出力制御ルールの下で接続を行う。
4.福島に対する特別な対応
(1)福島県内にある東京電力の送変電設備の活用
・東京電力の新福島変電所(富岡町)等の設備増強により、福島復興に寄与する再生可能エネルギー発電事業者の接続を可能とするスキームを福島県とともに構築する。
(2)再生可能エネルギー発電設備、送電線や蓄電池等の導入支援
・被災3県(岩手県、宮城県、福島県)の津波浸水地域等において、復興計画等に基づき自治体と連携して実施する再生可能エネルギー発電事業について、発電設備、送電線や蓄電池等の導入支援を検討する。特に、福島県の避難解除区域等においては、手厚く支援することを検討する。
(3)避難解除区域等における優先的な接続枠の確保
・東北電力管内において、避難解除区域等の復興に資する発電事業に優先的な接続枠の確保を図る。
5.今後の導入拡大策等
(1)蓄電池の活用
・系統への受入可能量拡大のため、再生可能エネルギー発電事業者が設置する蓄電池の導入支援を検討する。
・また、受入可能量拡大のため、電力会社が系統に設置する大規模蓄電池の実証事業の支援を検討する。
(2)更なる系統の活用・増強
・電力会社単位ではなく、日本全体で最も効率的に再生可能エネルギーを受け入れる観点から、広域的な系統利用を可能とするシステムを構築する。このため、優先給電指令や地域間連系線の利用ルールを見直す。また、固定価格買取制度全体の見直しの中で、広域的な再生可能エネルギーの受入れに伴う電力会社間の新たな精算ルールや、地域内系統及び地域間連系線の強化に必要となる費用の新たな分担方法等の検討を速やかに開始する。
・今後のエネルギーミックスの検討と併せ、地域内系統や地域間連系線の増強方針等について検討し、その検討結果を踏まえ、広域的運営推進機関等の場において、その具体化を図る。
(3)上位系統増強時の費用負担方法(入札募集方式の導入)
・再生可能エネルギー等の接続に際し、エリア全体の接続可能量を超過していないものの、ローカルな上位系統の制約がある場合への対応として、現在、東京電力が群馬県北部で行っている入札募集方式を全国で実施可能とすることとする。
6.固定価格買取制度の運用見直し
国民負担を抑制しつつ、再生可能エネルギー発電事業の健全かつ円滑な実施を図ることができるよう、以下のとおり、制度の運用を見直す。
(1)太陽光発電に適用される調達価格の適正化①調達価格の決定時期について、「接続申込時」から「接続契約時」に変更する(※)。
(ただし、電力会社側の理由で、接続申込から270日を経過しても接続契約の締結に至っていない旨の電力会社からの証明書があれば、当該期間が経過した時点(接続申込の翌日から270日後の日)の調達価格を適用する。)
【告示改正事項。平成27年4月から適用予定】
※現行制度では「設備認定」と「接続申込」のいずれか遅い方が行われた時点の調達価格を適用することとしているところ、この「接続申込」を「接続契約」に変更するもの。
②運転開始前に、「発電出力の増加」又は太陽電池の「基本仕様の変更」(※)を行う場合には、変更認定を受けることを求め、その「変更認定時」の調達価格に変更する。(ただし、電力会社の接続検討の結果に基づく出力増加、10kW未満の太陽光発電設備の出力増加(増
加後も10kW未満である場合に限る)若しくはその太陽電池の基本仕様の変更、又はメーカーが製造しなくなったことに伴う太陽電池の基本仕様の変更については、例外的に調達価格を変更しない。)
【省令・告示改正事項。平成27年2月以降の変更認定申請から適用予定】
※「基本仕様の変更」とは、太陽電池のメーカー若しくは種類の変更、又は、変換効率の低下とする。
③運転開始後に、「発電出力の増加」を行う場合、増加部分を別設備として新たに認定し、その時点の調達価格を適用する(事業者の選択により、変更認定により既認定部分を含めた設備全体について「変更認定時」の調達価格に変更することも認める)。
(ただし、10kW未満の太陽光発電設備の出力増加(増加後も10kW未満の設備である場合に限る)については、調達価格を変更しない。)
【省令・告示改正事項。平成27年4月以降の別設備としての認定(又は変更認定)申請から適用予定】
(2)接続枠を確保したまま事業を開始しない「空押さえ」の防止
電力会社が、接続契約の締結時に接続枠を確定させることとした上で、接続契約の締結後1か月以内に接続工事費用が入金されない場合や、契約上の予定日までに運転開始しない場合は、接続枠を解除できることとする。【省令改正事項。1月中旬の公布日から施行予定】
併せて、電力会社に接続工事費用の透明性の確保や契約プロセスの見直し等を要請する。
(3)立地の円滑化(地域トラブルの防止)
太陽光発電等の立地をめぐる地域トラブルを防止するため、認定時に関係法令の手続き状況について提出を求め、個々の案件の詳細情報とともに、地方自治体に提供する。
【運用変更事項。可能な限り速やかに実施予定】
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7.今後のスケジュール
12 月 19 日
○省令・告示改正案についてのパブリックコメントの開始
1月中旬頃
○改正省令・告示の公布
新たな出力制御ルールについては即日施行


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